酪農家さんのコミュティと転換のカギ – もと酪農スタッフに質問!vol.8
環境・健康・動物へもたらす影響を受け畜産業が抜本的な転換を求められる今、公平で平和的な転換の道を対話で見出す試み。
ヴィーガンであるLisaが酪農スタッフ 丸山さん(仮名)をむかえ、〈ヴィーガン×動物産業関係者〉という一見まったく立場の異なる2人が、皆さんからの質問をきっかけに酪農家の目線にせまる。
忙しい農家さんのコミュニティ
Lisa:寄せられた質問は以上です。今回の対話を経て思うことはありますか。
丸山:牧場で働いていたのはかなり前のことなので、当時の記憶を辿る機会になりました。現在の自分が振り返るより客観的な視点がもてたと思います。
酪農家さんはいそがしく、行動範囲はだいたいが農場と畑と自宅で、人との交流は家族・近所付き合い・農協の人・獣医さんや受精士さんという、いわば限られた世界で生きているという印象は今も変わりません。
現在酪農家で働く友人知人と会話しても、新しい情報が入ってきにくい環境と改めて感じます。これは自分も経験したことで、かつての自分は限られたコミュニティ内で生活し、外の社会から孤立した感覚から抜け出したくて転職しました。「田舎あるある」ですね。
転換のカギ
丸山:酪農からの転換の質問がありましたが、もし農家さんが新しく何かを始めるなら意識改革から。まずは農家さんにとって身近で警戒心を持たない情報源が変わってゆくことだと思います。
Lisa:「何」が話されるかより「誰」が話すかが大事という意味でしょうか。
丸山:あくまでも私個人の認識ですが、地域に根ざして信頼関係を築いた人の意見なら聞くという傾向は強くあると思います。いい意味でも悪い意味でも閉鎖的で、どこの誰かわからない若造より、仲の良い人に耳を傾ける。私がいた町は比較的オープンで、酪農家さん達が自治体の提案に応じ研修生を受け入れてくれましたが、別の地域では同じ町の酪農家同士の交流がないところもあると聞きます。
酪農分野でも高齢化が進み、体力が低下し、後継者もいないなか、離農したくても踏み切れない牧場も多数あるはず。そういう状況にある方を対象にした新しいプランに需要があるかもしれないです。「牛をみんな引き取ります」とか。それで高齢の農家さんが体力的に楽になる仕事や、収入源があればいいと思います。新しいことをする意味では、行動力もアイディアの面でも、その分野に興味と探究心のある大学生などの若者の協力を得られるといいですね。